中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集

松平竹央(中小企業診断士)

皆さま、こんにちは。一般社団法人城西コンサルタントグループ(JCG)の松平です。

今回(第3回)は、展示会出展やホームページ作成の費用を賄うことができる補助金「小規模事業者持続化補助金」をご紹介します。
使い勝手のよい補助金ですのでとても人気があり、毎回多くの事業者が申請しています。

Vol.3 今年人気の補助金 「小規模事業者持続化補助金」 ってどんなもの?

この補助金は、文字通り小規模事業者向けの補助金です。平成26年、27年と2年連続で公募がありました。その前年の平成25年には「小規模事業者活性化補助金」というものがありました。
昨今、政府は小規模事業者の支援に力を入れています。このため来年度も同様の補助金の公募があるかも知れません。

この「小規模事業者持続化補助金」の補助対象者となる小規模事業者の定義は法律で表1のように定められています。個人事業主も対象に含まれます。

表1 小規模事業者の定義
卸売業・小売業 常時使用する従業員の数  5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業以外) 常時使用する従業員の数  5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下

「ウチは対象外だから関係ない」と思われた方もおられることでしょう。しかし補助金は、自社が使うためだけのものではありません。
例えば、「ものづくり補助金」の申請期間中に「ものづくり補助金」でネット検索をかけますと、補助金申請の代行業者の広告が数多く表示される中に混じって著名な大企業であるK社の広告が表示されていました。K社は、「ものづくり補助金」をキーワードとするリスティング広告を出していたのです。
「ものづくり補助金」の補助対象者は中小企業ですので、K社は補助対象者ではありません。K社の狙いは、「ものづくり補助金」の利用者にK社の検査装置等の製品の購入を促すことでした。

このように、補助金の公募があった場合、自社が直接使うものではない場合でも顧客やビジネスパートナーに紹介して利用を促すことで、自社の事業に恩恵をもたらすことがあります。例えば自社が商社である場合、自社が扱う商品のサプライヤーが補助金を活用してより魅力的な商品を開発してくれれば、自社にとっても歓迎すべきこととなります。

では、今回ご紹介する「小規模事業者持続化補助金」とはどのような補助金なのでしょうか。
募集が始まりますと、所管の機関から「公募要領」と呼ばれる資料が公開されます。この「公募要領」に書かれていることの要点を抜粋したものを表2に示します。

表2 小規模事業者持続化補助金(平成27年度)の概要
対象者(申請要件) 小規模事業者(表1を参照)であって、商工会議所の管轄地域内で事業を
営んでいること
補助対象事業 策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓のための事業であること
商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
補助対象経費 ①機械装置等費、②広告費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪車両購入費、⑫委託費、⑬外注費
募集期間 1次:2月27日~3月27日
2次:3月28日~5月27日
追加公募:7月3日~7月31日
補助対象期間 1次:交付決定日から平成27年10月31日まで
2次:交付決定日から平成27年11月30日まで
追加:交付決定日から平成27年11月30日まで
補助上限額 50万円(原則) 
100万円(雇用増加、処遇改善、買い物弱者対策)
500万円(連携する小規模事業者数による)
補助率 補助対象経費の2/3以内
提出書類 申請書(様式1)、経営計画書(様式2)、補助事業計画書(様式3)、
事業支援計画書(様式4)、補助金交付申請書(様式5)

この補助金には、大きく3つの特徴があります。

1つめは、申請に際して、商工会議所等の経営指導員の(無料の)助言を受けながら提出書類を作成することができる点です。この補助金を申請する過程で社外の方の意見も聞きながら経営計画書を策定することは、自社の経営を客観的に見直すよい機会になるかも知れません。

2つめは、補助対象経費の範囲が広いという点です。商品開発と販売促進のいずれにも利用可能な補助金はそう多くありません。また、補助率も3分の2と高いため、人気のある補助金となっています。採択率は公表されていませんが、しっかりとした提出書類を作成しなければ審査にパスすることが難しいものとなっています。

3つめは、早く申請した方が有利である点です。平成27年度における「小規模事業者持続化補助金」の募集は実質的に3回に分けて行われました。1次受付分で審査の採択が得られなかった事業者が、2次受付や追加公募にて再挑戦して採択されたケースもあります。早めに申請すると、その申請で採択されなくても、再挑戦する機会を得ることができるのです。また、補助事業期間は、交付決定(採択者が所定の手続きをすれば交付決定がなされます)から10月末、または11月末となっています。つまり、1次受付で交付決定を得た場合に補助事業期間を最も長くできるのです。

この「小規模事業者持続化補助金」を申請する上で、重要なことをいくつかご紹介します。

まずは経営戦略を考える上で、「自社の強みを活かし、今わかっているビジネスチャンスを捉える」ということを基本に据えるといいでしょう。「自社の強み」とは、自社が持っている技術・技能・工法・ノウハウや、経営者の人脈などのことです。「自社の強みはこれだ」、と明快に示すことができる方ばかりではないでしょう。また、自社が強みだと信じていることがお客様にとって本当に価値を提供できるものなのか疑わしい場合もあります。自社の強みというものは、案外自社では見えにくいものなのです。自社がこれまでなぜ存続できてきたのか? お客様はなぜ、当社と取引をしてきたのか?という視点で自社の強みを探してみて下さい。

「今わかっているビジネスチャンス」に気付くためには、最近増えてきた注文、商談、問い合わせ、相談、他社サービスに対する苦情や不満といったことからヒントを探すといいでしょう。これにより、自社が狙うべき顧客層やその顧客ニーズも把握しやすくなります。

そして、「自社の強みを活かし、今わかっているビジネスチャンスを捉える」ということの具体的な内容を提出書類である経営計画書(様式2)、補助事業計画書(様式3)の中にしっかりと表現していくのです。この際、誰のどのようなニーズに、何を、どのようにして提供するか、という観点で自社の経営計画を整理しておくといいでしょう。その上で、経営計画を実行していくために、この補助金を使って何を行うのかを明らかにするといいでしょう。

前述のとおり、この「小規模事業者持続化補助金」の提出書類は商工会議所等の経営指導員の方から助言を受けながら作成することができます。提出期日が近くなりますと、こうした経営指導員の方は多くの申請者の対応をするため、きめ細かな対応をすることが難しくなります。従いまして、申請の準備は早めに着手されるといいでしょう。

ところで、住宅関連事業者は「小規模事業者持続化補助金」をどのようなテーマで活用しようとしているのでしょうか。採択となった申請案件のテーマや事業者名はWebにて公開されています。そこで、平成27年度の「小規模事業者持続化補助金」の採択案件テーマをキーワード別に見てみます。テーマを眺めるだけで、住宅業界の最新トレンドを垣間見ることができます。

「家づくり」 という言葉を含む採択テーマの例
「新築」 という言葉を含む採択テーマの例
「リノベーション」 という言葉を含む採択テーマの例
「耐震」 という言葉を含む採択テーマの例
「バリアフリー」 という言葉を含む採択テーマの例
「展示会」 という言葉を含む採択テーマの例 (業界を問わずに抽出)

いかがでしたでしょうか。小規模事業者の方がそれぞれに工夫して事業の維持・発展に努力されていることが感じられたのではないでしょうか。

自社の経営計画を確認し、来年の補助金活用に向けて今から取り組むべきことをご検討されるといいでしょう。ただし、補助金は審査の結果、採択されない場合もありますので、補助金を活用するケースと活用しないケースの両方を検討しておかれることをお勧め致します。

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