中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集

小野 靖(中小企業診断士)

皆様、こんにちは。一般社団法人城西コンサルタントグループ(JCG)の小野です。

今回(第4回)は、経営革新計画についてご紹介いたします。前回までお話してきました補助金とも親和性の高い中小企業支援施策ですので、基本を十分理解されますように、そして経営革新計画のメリットを最大限活かすためのコツまで踏み込んでお話いたします。

Vol.4 経営革新計画のポイント

経営革新計画とは

昨年公募された「ものづくり・商業・サービス革新補助金(いわゆる新ものづくり補助金)」を応募された方であれば、申請書に経営革新計画の承認をチェックする欄があったのですが、覚えておられますか?そのとき経営革新計画とはどういうものなのか、ご存じでしたでしょうか? 
また補助金申請をされなかった皆様、経営革新計画をご存じですか?

経営革新計画とは、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」を根拠法規とする中小企業支援策です。ざっくり申し上げますと、中小企業が既存事業とは別に、新事業を立ち上げるべく立案した中期計画で、各都道府県の承認を受けたものが経営革新計画です。承認企業は下記の支援策を利用することができます。

このほかにも各都道府県で独自に承認企業に対する支援策を設けているところが多々あります。例えば東京都中小企業振興公社が毎年公募する「市場開拓助成金」は誰でも申し込むことができる訳ではなく、申込み資格が限定列挙されているのですが、幾つかある資格の一番目に書かれているのが、経営革新計画です。
どうでしょう。一回承認を取っておくと便利だなと思われませんか。

さて平成27年版中小企業白書によりますと中小企業数は全国ベースで385万社、一方、平成25年度の経営革新計画承認企業数は3,307社です。経営革新計画承認企業は年間で全体の僅か0.1%にも満たないのです。でもだからと言ってハードルが高いとあきらめないで下さい。制度そのものを知らない方々が多いという要因もあると思います。知らなければ申請できません。逆に周りが知らなければチャンスだと思いましょう。正直なところ計画の策定は簡単ではありませんが、熱意があれば承認を得るのはそう難しいことではありません。要はポイントを押さえることです。

経営革新計画の形式要件

前節で新事業と申し上げましたが、その新事業は以下の4つに類型化されます。

4つの内、複数に当てはまっても問題ありません(例えば新商品の開発であり、且つ新しい販売方式の場合など)。ただ、少なくともどこか一つに当てはまる必要があります。

中期計画は3~5年で定めますが、その際、それぞれの年数に応じて達成すべき目標数値があります。経営革新計画を策定する際にはこの目標数値をクリアする計画を立案しなければなりません。

計画終了時 「付加価値額」又は「一人当り付加価値額」の伸び率 「経常利益」の伸び率
3年計画の場合 9%以上 3%以上
4年計画の場合 12%以上 4%以上
5年計画の場合 15%以上 5%以上
(注)「年率3%以上の伸び率」           (注)「年率1%以上の伸び率」

最低1期の決算が終了していないと申込みできません。残念ながら創業したばかりの会社は申請できません。

経営革新計画の実質要件

実質要件としての新規性

第一に自社内において、経営革新事業と既存事業には明快な相違点がなければなりません。第二に世の中的にも余り類似なものは見当たらないというような革新的新規性のあるものが望まれます。

実現可能性

新規性があったとしても夢物語、アイディア倒れで終わらないように、実現可能性が求められます。例えば、既存事業で培った技術が応用できる。テストマーケティングを実施してある程度の見通しを得ているなど、具体的な補強材料があると良いでしょう。

数字の整合性

スペースの関係で詳細は省きますが、申請書において数字を用いる表が3つあります。これらの表の間の整合性をきちんと取ることが大事です。実務的に注意すべきところです。

経営革新計画のメリットを最大限活かすために

私は経営革新計画を策定する一番の目的は、企業経営にPDCAサイクルを導入することだと思っておりますが、活用できる支援策があるのならば、効率良く組み合わせることも大事だと考えております。「経営革新計画の承認が取れて良かった」で終わらせては、もったいなくはありませんか?

経営革新計画の様式の中には、[希望する支援策について]、[関係機関への連絡希望について]という欄があります。例えば、[希望する支援策について]で政府系金融機関による低利融資制度を選択、[関係機関への連絡希望について]で希望する日本政策金融公庫の支店を入れておけば、申請都道府県から公庫に経営革新計画書が送られます。
その場合注意しておくことは、あらかじめ(別表3)の資金調達額の欄に、政府系金融機関からの借入について、数字をしっかりと入れておくことです。そうしないと、一旦承認された計画の変更申請が必要となる場合がありますので、ご注意下さい。

以下ご参考として2例ご紹介いたします。

<トリプルメリットのA社>
A社は決算1期を終えたばかりでしたが、新事業を計画、経営革新計画にトライしたいということで、計画書策定の支援を行ないました。 2015年2月に計画書を提出したのですが、実はこの時点で、本新規事業をテーマとした新ものづくり補助金を申請することも想定しておりました。経営革新計画は無事3月末に承認通知書が届きましたので、続いて新ものづくり補助金の1次公募に申し込みました。経営革新計画書の記載内容がほぼそのまま補助金の申請書にも使えたので、申請作業は非常に効率的に進み、無事採択されました。その後、経営者の方から新事業に関する資金付けの相談を受け、日本政策金融公庫へ相談に行ってみたらとアドバイスしたところ、こちらも経営革新承認企業向けの貸出メニューがあり、スムーズに融資が実行されました。

<資本性劣後ローンとの組み合わせ>
新事業並びに新事業の為の長期資金を必要としていたB社につきましては、経営革新計画と同時に日本政策金融公庫へ資本性劣後ローンの申し込みを行いました。資本性劣後ローンとは10年程度の長期に渡り、元本返済のない貸出で、取引金融機関は、当該ローンを負債ではなく自己資本とみなして企業の格付けができるという優れものです。反面、普通の貸出に比べて難易度が高いものですが、経営革新計画の承認が公庫の最終決断をプッシュする形となり、無事資本性劣後ローンも実行されました。信用保証枠も増枠され、既存取引行の追加融資も順調に実行されています。

最後に

独力で経営革新計画を策定することができれば素晴らしいことと思いますが、効率的に策定するには、外部の支援機関にサポートしてもらうのも一法です。相談される場合、手近なところでは、商工会、商工会議所、各都道府県などの中小企業支援センター、そして経営革新等支援機関などが良いと思います。
私ども、JCGも認定支援機関です。中小企業診断士百余名の会員の中には経営革新計画の策定サポート実績・経験のある者が多くおります。初めのご相談は無料で承りますので、お気軽に声掛け下さい。

※本文における意見に当る部分は筆者の属する組織を代表するものではなく、筆者個人の見解によります。

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