中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集

松平 竹央

皆さま、こんにちは。一般社団法人城西コンサルタントグループ(JCG)の松平です。

今回(第8回)は、外部の専門家を無料で、もしくは格安で活用する方法をご紹介します。皆様の事業における経営課題を解決するにあたり、外部の専門家のアドバイスが役立つ場合があります。

Vol.8 外部の専門家を安く、上手に活用しよう

1.専門家派遣制度について

中小企業の経営を支援するための機関には、中小企業庁や商工会・商工会議所等があります。そうした中小企業支援機関では、いくつかの無料の経営支援制度が用意されています。
例えば、商工会・商工会議所等では無料の経営相談会やビジネスセミナー等を頻繁に行っています。
そうした経営支援制度の中には、専門家派遣制度があります。
専門家派遣制度では、中小企業の方が抱える様々な経営課題を解決するために、販路開拓やIT活用などの専門のスキルを有する専門家が中小企業を訪問して(または制度を管轄する機関の会議室等で)、相談に応じたり助言をしたりする制度です。専門家に支払う経費を中小企業支援機関が全額肩代わりするものは中小企業の方においては無料となります。経費の一部を中小企業の方にも負担頂く有料のものもあります。

次の表に、専門家による相談・専門家派遣制度の例を示します。皆様の身近に存在している中小企業支援機関において、専門家を無料または格安で活用するための何らかの制度が用意されていると思います。

表1: 専門家による相談・専門家派遣の制度
  事業名 運営主体(窓口)
無料のもの 専門家派遣(ミラサポ) 中小企業庁
(よろず支援拠点・地域プラットフォーム)
ビジネスサポートデスク 東京商工会議所
専門家派遣(エキスパートバンク) 大阪商工会議所
有料のもの 専門家継続派遣事業
経営実務支援事業
戦略的CIO育成支援事業
販路開拓コーディネート事業
独立行政法人 中小企業基盤整備機構
専門家派遣事業 公益財団法人 東京都中小企業振興公社

この表はで公的な制度を挙げましたが、銀行や信用金庫などの金融機関が斡旋・マッチングを行う専門家派遣の制度もあります。

ところで、「専門家」とは、経営、税務、人事、法務、IT等に関する専門的な知識やスキルを有する者のことです。「専門家」は①販路開拓、広告宣伝、人材教育、Webサイトの構築といった知識・スキルについての専門領域や、②飲食店、介護福祉施設、不動産といった業界・業種についての専門領域の切り口で専門性を打ち出しています。
そうした専門家は、先ほどの表1で示したような相談・専門家派遣の制度で構築しているデータベースに認定・登録されています。

2.専門家相談・派遣制度を活用するには

制度にもよりますが、専門家相談・派遣制度を活用するための手順は次の図のようになります。

(1)情報収集と経営課題の相談

「専門家派遣」をキーワードとしてインターネット検索をしますと、専門家相談・派遣制度に関する情報を入手することができます。さらに、各事業者の方の所在地をキーワードに加えて検索してみるといいでしょう。
例えば、「ミラサポ」の専門家派遣制度についての情報はWebサイトで詳細に開示されています。登録されている専門家についての情報を得ることも可能です。
一方で、Webサイトでは詳しい情報が公開されていない場合もあります。中小企業支援機関としては中小企業の方にまずは相談を受けて頂き、次のステップとして専門家を利用する制度を紹介するかどうかを判断したいと考える場合があります。そのようなスタンスで運営されている制度の場合には、Webサイトで公開する情報をあえて制限しているのです。
このため、専門家相談・派遣制度の活用を見据えて制度に関する情報収集を行うためにも、まずは受付窓口に相談することから始めるのが一般的です。「ミラサポ」の専門家派遣制度についても、利用するためには各地域の「よろず支援拠点」や「地域プラットフォーム」の相談窓口に経営課題について相談する必要があります。
相談窓口に行く場合、その時点では専門家相談・派遣制度を活用することを決めておく必要はないでしょう。中小企業支援制度には様々なものがあります。相談内容に応じてそうした中小企業支援策の利用に関しても何らかの助言を得ることができるでしょう。
なお、中小企業の方にとって身近に相談できる経営支援者(中小企業診断士等)がおられる場合にはそうした方に相談し、どの制度を活用するためにどの中小企業支援機関の窓口に相談に行くべきかについて助言を得ておくといいでしょう。

(2)利用可能な制度と専門家の選定

相談窓口での相談の結果、経営課題の解決に資する中小企業支援制度が絞り込まれます。
専門家相談・派遣制度を活用することになる場合には、解決すべき経営課題に適した専門家を選定します。そうした選定も、相談窓口の担当者と相談しながら行うといいでしょう。
中小企業の方が正当な理由に基づきすでに助言を受けたい専門家を選定していた場合には、その考えを尊重してもらえるはずです。ただし、制度ごとに予め登録されている専門家しか利用することはできませんので注意が必要です。例えば、「ミラサポ」の制度を利用する場合には、「ミラサポ」に登録されている専門家でなければ利用することはできません。
なお、実際に専門家にアポをとり、専門家相談・派遣制度を活用する場合には所定の手続きが必要になります。そうした手続きにつきましては相談窓口の担当者が教えてくれます。

(3)専門家の助言を受ける

専門家による支援が始まりますと、専門家は活用される制度の規程に基づき、相談者からのヒアリングや現地調査を行った後に助言を行います。
「規程に基づく」とは、時間や回数などに決められたルールがあるということです。
従いまして、相談される方は、予め目的・課題を明確にしておくことが肝要です。そして、目的・課題に関することであれば、可能な限り専門家に対して情報をオープンにするという姿勢で臨まれるといいでしょう。相談される方が情報を出し惜しみしますと、専門家は課題の認識を適切に行うことができず、結果として助言内容が的外れなものになってしまうかも知れないためです。
専門家は相談される事業者の方に“気付き”を与え、課題の解決手段の案を示し、相談される方の意思決定や行動を促します。当然のことですが、専門家からの助言のうち何をどこまで受け入れて実行するかを判断するのはあくまでも助言を受ける事業者の方ということです。

3.専門家派遣制度の活用事例

昨年(2015年)、私が専門家として支援させて頂いたA社の事例をご紹介します。
この事例に関するポイントをまとめたものを次の表に示します。

表2: A社に対する専門家派遣制度による支援
相談者 A社(ビルや住宅向けの水道関連装置の販売事業者)
相談内容
(解決すべき課題)
当初の課題:売上拡大をしたい
追加課題:商談をスムーズに進展できるようにしたい
活用した制度 商工会議所の専門家派遣制度(3回)、ミラサポの専門家派遣制度(1回)
成果 ①小規模事業者持続化補助金の申請・採択・計画の実施
②第三者機関での装置の性能評価の実施

A社は、ビルや住宅向けの水道関連の装置を販売している会社です。その装置を導入しますと、水道設備の保守が楽になり、維持費や手間を省くことができるというメリットがあります。
販売実績と引合いが増えてきたために、攻めの営業を行いたいということで、A社からご相談を頂きました。結果として、商工会議所とミラサポの専門家派遣制度を合計4回活用した支援を行うことになりました。いずれも、A社にとっては無料で利用できる制度です。
A社からの当初のご相談内容は売上アップを図るにはどうしたらいいか、というものだったわけですが、そのときのA社は資金繰りがとても厳しい状況でした。
資金繰りが厳しい原因の1つは、商談発生から売上代金の回収までに長く時間がかかることでした。これを踏まえ、「商談をスムーズに進展できるようにすること」も解決すべき課題に追加して取り組むことになりました。
A社の主要顧客は、装置の導入に慎重で意思決定に時間がかかる大手企業でした。商談が発生しますと、A社より装置を顧客に貸し出して一定の期間の評価を行い、結果が良好であればようやく契約交渉の段階に進めることができるということでした。こうした状況を踏まえ、解決策として次の2点を助言しました。
1点目ですが、評価試験を要しない新規のターゲット顧客を開拓することでした。A社との協議を経て新たなターゲット顧客層を設定し、顧客開拓するためのパンフレットの制作、Webサイト等で使うPR動画の制作を行うことになりました。そのための活動資金として「小規模事業者持続化補助金」を申請することにしました。商工会議所の経営指導員の方にもご尽力頂き、申請は採択となりました。
2点目は、A社の装置の性能を評価するための試験を、第三者機関を活用して行うことでした。顧客ごとに行っていた評価試験の共通的な部分を切り出して、それを第三者機関による評価試験で置き換えることができればA社にとってもA社の顧客にとっても負担が軽減されることが見込まれました。そして、私からは具体的な評価試験方法を提案しました。
その後、A社には当初は想定していなかった有望な顧客層から引き合いが来るようになりました。
この事例では、専門家派遣制度を活用した支援の初期段階でA社の経営状況を詳細に把握することができました。このため、資金繰りが厳しいというA社が抱える問題点を認識した上で助言を行うことができました。その結果、助言内容はA社が実行可能なものとなりました。

いかがでしたでしょうか。皆様の事業におかれましても、現状のモヤモヤとしている課題を整理して解決を図るために、あるいは新たな挑戦を成功に導くために、外部の専門家の活用をご検討されてはいかがでしょうか?

さて、今回のコラムのテーマとは直接の関係はありませんが、筆者は去る5月26日に、「住スタイルTOKYO 2016」の会場において『知って得する!展示会や販売促進に使える補助金の活用術』と題した特別セミナーを行わせて頂きました。来年以降の「住スタイルTOKYO」への出展を想定した補助金の活用策などについてご紹介しました。

本コラムの読者でご希望される方は下記フォームよりご請求頂きましたらセミナーで配布した資料(スライドのコピー)のPDFファイルを無料で進呈致します。
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なお、中小企業支援をされている方(経営コンサルタント等)や、ご勤務先がWebサイト等で確認できない方からのお申込みの場合、お断りさせて頂く場合がございますので予めご了承下さい。

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